40代後半で重度の歯周病と診断された私。
その時点で前歯の何本かは既にかなりグラグラ。
通っていた歯医者の先生から提案された治療法は、グラグラの歯を抜いてブリッジを着けるというものでした。
悩んだ末、歯は抜くにしてもブリッジではなく歯列矯正を選択しましたが、決断に至るまでには、
- 20以上の歯科医院のウェブサイト
- ネット上で見られる論文
でブリッジのことを調べまくりましたw
この記事では、歯周病治療にブリッジを提案されたアラフィフの私が悩む過程で得た、
- そもそもブリッジとは?
- ブリッジのデメリットや寿命
- ブリッジの寿命が来たら?
といったお話をしたいと思います。
目次
そもそもブリッジとは?

重度の歯周病と診断されるまで、補綴治療(失った歯などの機能を回復するための治療)という言葉さえ知らなかった私。
そもそもブリッジがどんな治療方法なのか、歯医者の先生の説明を受けて初めて知りました。
両脇の歯を土台に、人工の歯を橋のように架ける
歯が1~2本なくなった場合、なくなった両脇の歯がしっかりしている時に、両脇の歯を支えとして人工の歯を橋のように架けるものをブリッジと言います。歯の根(歯根)がしっかりしていれば、歯根に土台(金属などで製作します)をたてて、冠をかぶせるために型をとり、ブリッジを造ってセメントでつけます。
日本補綴歯科学会
ブリッジとは、失った歯を補うため文字どおり「橋」をかけるということですね。
ブリッジは保険適用なので(見た目や材料などを気にしなければ)、歯を失った人が比較的安く歯を補える治療法。
また土台となる歯にがっちりと接着するので、取り外し式の入れ歯とは違い、噛んでいる時にズレたり外れたりしないのも大きなメリットです。
私が提案されたブリッジを使った治療方法

- 叢生(歯がデコボコに生えている)
- 反対咬合(受け口)
とひどい歯並びの私。
関連記事 40代アラフィフ男が矯正を決めた極悪な歯並びって?八重歯・叢生・受け口
さらに極度の歯医者ギライで、前はいつ歯医者に行ったか思い出せないほど…
アラフィフを迎えた時にはすっかり歯周病に侵され、前歯の何本かは既にグラグラで医者に「もう抜くしかない」と言われる状態でした。
関連記事 俺が重度の歯周病?!ってそもそもどんな病気だっけ?治療方法やその効果
そこで提案された治療方法がブリッジ。
具体的には、
- 下あごの前歯を3本抜く
- 抜いた歯の両脇の歯を削って土台にする
- ブリッジを着ける
というものでした。イメージとしては、



40代後半で歯を3本失い、さらに別な歯を2本がっつり削る。
正直、これを聞いたときは結構ショックでしたね…
もちろんここまで歯周病を放置していた私が悪いんですけどねw
治療方法も合理的だと思います。
それはわかっているけれど、3+2は気持ち的になかなか受け入れがたく、
- ブリッジのデメリットって?
- そこまでして着けたブリッジって何年ぐらいもつの?
- もしブリッジがダメになったら次はどうするの?
特にそんなことが気になってきました。
ブリッジのデメリットは土台となる歯の寿命短縮

歯周病治療にブリッジ装着を提案された私は、20件以上の歯科医院のウェブサイトを読みまくりました。
その中で共有して言われているブリッジの最大のデメリットを一言であらわすと、土台となる歯の寿命が縮まる、です。
土台となる歯の寿命が縮まる主な原因は以下の2つ。
- 土台となる歯の負担が増える
- 虫歯や歯周病のリスクが増える
1. 土台となる歯の負担が増える
ブリッジを着けると、土台となる歯の負担が増えます。
失った歯が1本の場合、もともと3本の歯で支えていた力を2本で支えることになります。
つまりブリッジの土台となる2本の歯にかかる力は、単純計算でそれまでの1.5倍。
私の場合は下あごの前歯を3本抜き、もともと5本で支えていた力を2本で支えることになりますので、土台1本にかかる力はそれまでの2.5倍!
下あごの前歯にかかる力は、食べ物をすり潰したりする奥歯と比べてかなり小さいそうですが、それでも土台になる歯への負担は相当増えますね。
さらにある歯科医院によれば、歯をブリッジの土台として成形するためには、その歯の40~70%も削らなければならないとのこと。
削ることで歯の体積がかなり小さくなりますので、歯にかかる負担は考えている以上に大きいのではないでしょうか。
2. 虫歯や歯周病のリスクが増える
ブリッジは日頃のメンテンナンスがしにくく、虫歯や歯周病のリスクが増えると言われています。
ブリッジは土台となる歯に密着固定されていますが、失った歯があった部分は歯茎の上に乗っているだけ。
この構造上、ブリッジと歯茎の間に食べかすが詰まりやすいんですね。
さらにブリッジ固定式なので、取り外してキレイにすることもできません。
このメンテナンス性の悪さが原因で、土台となっている歯が虫歯や歯周病になるリスクが増えるということですね。
ブリッジの寿命は7~8年?

20以上の歯科医院のウェブサイトを見まくったところ、ブリッジの寿命は7~8年というのが通説のようです。
私が歯を3+2本犠牲にしてブリッジを着けても、わずか7~8年後の50代半ばにはダメになっちゃうの…?
ということで客観的なデータが無いか調べてみましたが、ブリッジの予後を長期間しっかりと追いかけた調査結果は残念ながら見つけられませんでした。
ただ、以下の2つの論文を見るかぎり、ブリッジの平均寿命は7~8年よりも長いのでは?と感じました。
北海道にある青山歯科クリニックの青山貴則院長(現在)が書いた2007年の博士学位論文によると、
平均生存期間では(中略)メタルブリッジが2,557日となった。
臼歯部修復物の生存期間に関連する要因
つまりブリッジの平均寿命は7年。
ただしこの調査の対象は再治療などで再来院した患者だけ。著者自身も論文中にこの調査の欠点のひとつと言っています。
調査の外には、トラブルなく(再治療の必要なく)もっと長い期間ブリッジを使えている人がいるはず。
こういった人たちを考慮すれば、全体的なブリッジの平均寿命は7年より長いと考えるのが自然でしょう。
もうひとつ、2005年に大阪大学・矢谷博文教授(当時)が行った文献レビューによると、
クラウンブリッジは装着後13年以上経過すると急速にトラブルが増加し、15年で約1/3、20年で約1/2が機能しなくなる
8020に対する歯科補綴学的文献レビュー
つまりブリッジの6~7割は15年、5割は20年耐えられると読めますね。
この2つの論文が書かれたのはそれぞれ2007年、2005年と古めなので、現在はブリッジの素材や技術が当時より進歩していると思われます。
また、『ブリッジはきちんとメンテナンスすれば10年~20年は大丈夫!』と言っている歯科医院もいくつか見受けられます。
そう考えると実際のブリッジの寿命は、通説の7~8年よりも長いのではないでしょうか。
ただし私が提案されたブリッジは5本で支えていた力を2本で支えるので、土台となる歯への負担が大きく、長寿はあまり期待できないでしょうね…
ブリッジの寿命が来たら?

次に、ブリッジの寿命がきたら次はどのような方法で歯を補うのか。
これまた20以上の歯科医院のウェブサイトを読みまくって集めた情報によると、土台となる歯が折れたり割れたりしていなければ再度ブリッジを着けられるとのこと。
ブリッジは土台となる歯にしっかりと接着されていますが、接着剤の経年劣化で外れてしまうことも。この場合は使っていたブリッジを再装着することになります。
土台の歯が虫歯になっていた場合は、虫歯を削ってブリッジを作り直し。土台の歯がさらに小さく削られるということですね。
虫歯や歯周病がかなり進行していた、または折れた・割れたためにもう土台として使えないと診断された場合は、
- 土台の歯を抜き、今度はその隣の歯を土台にしてブリッジ
- ブリッジをやめて入れ歯
1の場合はダメになった土台の隣の歯を削り、それまでよりも長いブリッジを架けることになります。
新たに土台となった歯には、先代よりさらに大きな負担がかかることになり、当然ブリッジの寿命も短くなるでしょう。
そう考えるとブリッジをするかどうかは、長い目で見た時のデメリットも考えに入れるべきかもしれません。
私がブリッジを選ばなかった理由

ブリッジを提案された私は悩んだ末、歯列矯正を選択しました 。
その理由は、
- やっぱり歯を3本抜いてさらに2本削るのに抵抗があった
- 反対咬合(受け口)が解消しない
私は歯並びが悪く、さらに咬み合わせたときに下の前歯が上の前歯より前に出る反対咬合です。
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これまで何度か『歯並びを矯正したいな』『反対咬合を治したいな』と思いつつ、矯正に踏み切れずにいました。
ある調査によれば、歯並びが悪い人、特に反対咬合がある人は、歯並びが正常な人に比べて年を取ってからの歯の残存数が少ないとのこと。
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歯列矯正はもちろん見た目のコンプレックス解消がひとつの大きな目的ですが、それだけでなく、
- 自分の歯を失いたくない
- 年を取ってもできるだけたくさんの歯を残したい
という気持ちも強くなっていました。
ただ、残念ながらブリッジをしても、見た目のコンプレックスかつ将来的に歯を失うリスクの反対咬合は治りません。
また、ここまでお話したように、ブリッジの寿命を含めて長い目で見たときのデメリットも気になりました。
ですのでブリッジは失うものの大きさに比べて得るものが小さいように感じ、ブリッジではなく、以前からやりたいと思っていた歯列矯正を選びました。
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ブリッジ治療の寿命やデメリットまとめ

40代後半で重度の歯周病と診断され、既に前歯の何本かがグラグラだった私が歯科医から提案されたブリッジ。
20件以上の歯科医院のウェブサイトやネット上で公開されている論文を読みまくって分かったのは、
- ブリッジの最大のデメリットは土台となる歯の寿命が縮まること。
- ブリッジの寿命は7~8年というのが通説。ただし複数の論文によれば実際はもう少し長そう。
- ブリッジの寿命がきても土台の歯がOKならブリッジの再装着が可能。
- しかし土台がダメな場合は隣の歯を土台にしてブリッジを延長するか入れ歯。
ブリッジは保険適用で比較的安価で治療でき、土台の歯と密着固定するので入れ歯のようにズレたりしないなどのメリットが多い治療方法です。
一方で、健康な歯を削る、土台となる歯の寿命が縮まるといった長い目で見た場合のデメリットも考えに入れるべきかもしれません。
以上、ブリッジ治療の寿命やデメリットについてでした。